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見たまま、感じたまま、思ったまま

2004年ライブ




勇造ライブ2004年、無事終了しました。勇造さんは、今までで一番凄い神がかったパフォーマンスを見せてくれました。
新しい写真に変えてみました。


いよいよ、ライブの本番。
朝からなんか落ち着かない。
う~ん、休診にしたら良かったかな~なんて思うけど、
いかん、いかん本業を忘れては・・。

でも、こんな日に限って患者さんが多い。
もう来なくて良いんだけどな~なんて普段なら絶対に言わないような贅沢な事を思いながらも12時半には終了。

勇造さんは1時頃に駅に着くそうだが、うちは1時には無理っぽいと思われたので1時半に合う約束。
とりあえず、昼食をかきこんで(と、言ってもコンビニのおにぎり)出発。

駅に着いたがまだ少し時間があったので、先に会場に荷物を置いておこうと考え(運良く、普段は渋滞している駅前デパートの地下駐車場も空いていた)、会場に着くとなんとそこに既に勇造さんが来ていた。
時間があったので、会場を見たくて先にやってきました~との事だ。既に会場の職員の人とうち解けて歓談している様子。さすがに勇造さんである。

そのころ、PAをやってくれる「うさぎ屋」さん、そしライブのスタッフである尾形君と谷本君も到着したので、そのまま準備に入る。

尾形君はMSさん(問屋さん)、谷本君はMRさん(メーカー)さんであるけど、決して仕事がらみの強制ではなくて、去年ライブを見に来ていて、今年は是非スタッフでと向こうから申し出があった人たち。
尾形君は、京都の大学でバンドをやっていたし、谷本君も大学は京都で、おまけに勇造さんと同じ、ギブソンJ200と言うギターを持っていると言う人たちなのだ。1年目から3年目までは、勇造さんの事を全く知らない人たちを雇っていた。まあ、それぞれみんなよくやってくれたし、2年目のバンドをやっていた高校生達は、あっという間に勇造ファンになったけれど、やっぱり勇造さんの事を知っている人たちにやって貰うのが気持ちいい。

今日の会場は、駅前のショッピングセンターの中にある、シビックセンターの4階にあるホールだ。
以前にプラネタリウムだったところを、(プラネタリウムが郊外に出来たので)ホールに改造した場所である。

既に椅子70脚を並べてくれていたし(これは、サービスでしてくれるらしい)、後はステージの後ろに幕を張り、受付の机や椅子をセットしたり、ドリンクのクーラーに氷や水を入れてセットしたり。音響はうさぎ屋さんがやるので、準備は簡単に済んでしまう。
本格的なステージで、照明がしっかりついているので、あれこれ触りながら、天井はこれ、背景はこの色で、スポットはこれを使ってという打ち合わせをやる。まあ、これも勇造さんが主導権をとってくれるんだけど。

予定より1時間ぐらい早く終了して、リハーサル。
僕はリハーサルの段階から既にカメラを回している。
誰も持っていない、豊田勇造リハーサル風景のビデオである。優しい曲、激しい曲、ピアノの曲、そして「花の都ペシャワール」のように、ちょっと特殊な曲(ギターを叩きながら歌うので)と、色々に分けてリハーサルをやる。
今までは、勇造さんが持ってきた、簡単なPAだったので、音決めもそんなに凝らなかった(と、言うか凝れなかった)けど、今日はさすがにプロが居るので、色々と注文を出す。
楽しみだ。

リハーサルが終わってみんなでお茶とコーヒー。
そして配偶者が買ってきたおにぎりやサンドイッチで小休止。いきなり花束が届いたりして嬉しい瞬間である。
花束の送り主は配偶者の従姉妹である弘ちゃん。今までのライブで、毎年照明の工事用サーチライトを持ってきてくれた人である。今日は子供の運動会と重なって、後かたづけもあって行けないので・・と言うことだった。

この会場ではCDの販売をしない事になっていたけど(販売すると使用料が5倍になるので)、それをどうしようかと相談。会場の係りの人は、終われば電話してくださいと言ったので、絶対に間で見に来たりはしないだろう。だから売りましょうと言うことになる。しかし、念のため普段はライブ終了後に売るんだけど、1部と2部の間に売ろうと言うことになる。勇造さんは売れたCDにサインをするので、実質休憩が無くなる事になる。大丈夫ですか?と尋ねると、大丈夫ですと元気な声。これは売るしかないだろう。
ライブの途中で勇造さん曰く「CDとお金と言う名前の紙切れの交換会をやります」(笑)。

開場は5時だけど、既に4時半頃からウロウロしてる人を発見。毎年兵庫県の明石から家族で来てくれる人である。
明石だって、毎年ライブがあるのに、勇造さんによるとこの人は、京都、北陸、四国など、近隣のライブに必ず顔を出してくれる人なのだそうだ。夫婦だけじゃなくて、小さい子供やおばあさんまで連れての移動。大変だと思うけどありがたい。

5時になるとゾクゾクとお客さんが入り出す。
70脚出した椅子が足りるかな~と思って途中で椅子を倉庫から出してくるけど、それはやっぱり杞憂だったようで、椅子は少し余っていた。
数えてみたら全部で52人。でも、これまでの最高である。
そして嬉しいことに、この中でご招待で券をあげた人は1人だけだったのである。今までは結構ご招待の人が居たけど、子供達の保育園の先生達だって、最初はご招待だったけど去年からはみんな自腹を切って来てくれる。今年は以前の保育園所長先生まで引っ張ってきてくれていた(おまけに所長先生の子供まで)。

10枚売り切ってくれた古くからの勇造ファンである、県会議員の本田さんと、勇造さんの事を全然知らないのに8枚も売ってくれた配偶者の従姉妹のクニちゃんの功績が大きいのだろうけど、半分以上は僕らの知らない人だ。
会場が変わったせいで、以前来てくれた人で来ていない人も居たけど、代わりにこういう駅前の会場でやったからこそ来てくれた人たちも居る。
こうやって少しずつ輪が広がっていくのだなあと実感。

ライブの前に、勇造さんと相談して曲目を決める。
最初の頃は、勇造さん主導で決めて、僕らのリクエストを聞いてくれるやり方だったけど、去年から二人で相談しながら曲目を決めるようになった。まあ、それだけ信頼してくれるようになったのだろうなあ。

僕としては、毎年違う曲を聴きたいけど、毎年初めての人もいるし、今年は特に初めての人が多いと言うことで、代表的な曲ははずせないだろう。そんな事を考えながら、曲目を決定。普段は前半、後半で6曲ずつ、そしてアンコールで2曲の14曲だけど、今年は2曲増やして16曲やりましょうと言ってくれる。嬉しい。(結果的にはアンコールで更に1曲増えて17曲も歌ってくれた)。
曲数が少ないですか?でも、一人であれだけのギターを弾きながら、ずっと立ちっぱなしで歌うと言うのはかなり体力必要だと思うのです。

さあ、いよいよライブの開始である。


打ち上げで勇造さんと並んで嬉しそうな谷本君(左)と尾形君(右)


最初に僕が簡単に挨拶。
イシオカ書店の奥村さんの事にもちらっと触れる。

そして勇造さんが、今年は客席の後ろから歌いながら登場。
唄う歌は「歌いながら夜を往け」である。2年前のライブと同じ始まりである。勇造さんの生き様を唄った歌の一つ。ライブの始まりか、アンコールで唄われることの多い歌である。

   俺には無い 金も地位も
   代わりにあるのは 気楽な暮らし
   身体ひとつ ギターひとつ
   歌と旅の暮らし
  
   海を越えて行こう 空を越えていこう
   国境を越えて行こう
   人の心よ 凍てつくなよ!
   唄いながら夜を往け~~

2曲目はアルバム「雲遊天下」から「帰郷」。
ライブでは初めて聞く曲だ。
曲目を決めるとき、最初は「海の始まり」が予定されていたけど、それじゃ2年前と全く同じですよ~(多分、勇造さんにも曲を選ぶ癖と言うのがあるに違いないと僕はにらんでいる)と、指摘してしまって、リハーサルでやっていたこの曲に変更した。

  
  製鉄所が終わったから
  この町はもう駄目だなんて
  そんな噂もあるけれど
  ここが好きだと キヨシは言う

勇造さんがライブでよく訪れる、釜石を唄った歌である。
ギターのリズムが心地よい。

そして3曲目は、近年の代表曲「それで十分」。
亡くなった勇造さんのお母さんが「勇造、それでじゅっぷんってええ歌やなあ」と褒めてくれた曰く付きの歌だ。

  唄う歌があればそれで十分
  響く声があればそれで十分
  ゆっくり考え あんまり気にせず
  少し欲張るそれで十分
  
  それで十分 それで十分
  命あれば  それで十分

  真っ直ぐな言葉と柔らかい心で
  話せる友達が居たら それで十分
  どうしようも無くやり場のない夜に
  抱いてくれる人が居たらそれで十分

  それで十分 それで十分
  命あれば  それで十分

  別れの夜に一杯の酒
  旅立ちの朝に一杯のコーヒー
  はきなれた靴とっておきのシャツ
  進める道があればそれで十分

  生きてる事が最高!
  今、命がある それで十分
  腕には力 足には風 
  心には海 それで十分

  それで十分 それで十分
  命あれば  それで十分

普段はアンコールで唄う歌を、唄とうてしまいました~。
とのMC。激しいギターだったもんなあ。

4曲目は、僕のリクエストでと前置きして「小松ちゃん」を唄ってくれる。勇造さんには、もう居なくなってしまった友人達に捧げた歌がたくさんある。「泰ちゃん」、「ブルーズをやろうぜ」など。
この「小松ちゃん」もその中の一つであるけど、やっぱり特定の人物と言うことで、京都以外ではあまり唄うことの無い歌だそうだ。

   昨日は門を壊そうとして
   今日は門に守られている
   殆どの人がたどった道
   あなたは黙って席を立つ・・。

ここで唄われているのは、ユーミンが「いちご白書で」、
  就職が決まって髪を切って来た時、
  もう若くないわと君に言い訳したね~

こんな風に唄ったのと逆の道を行った人の歌だ。
解体しようと思っていた大学にまた戻る矛盾。
大学へ戻らなかった人も少数ながら居た。
実は勇造さんだってその一人だ。
勇造さんは、大学を捨て歌を唄う道を選んだのである。
(その時の決意を唄った歌が「行方不知」だ。

5曲目は、「海の始まり」
この歌も勇造さんの生き様を歌った曲の一つである。
2年前はロック的な激しいビートで唄ってくれたけど、今回は最新アルバム「振り返るには早すぎる」でバンドでやっていたように、しずかなフィンガーピッキングを中心とした演奏でやってくれる。

  はじめは生まれたての魚みたいに
  大きな水を楽しんでいた
  北の岬の灯台守とか 女一人に生きる男とか
  親の夢に従い 列乱さず
  群れたがる自分嫌になりはじめ
  思えば嬉しくなつかしい
  俺の海の はじまり

  ~中略~
  
  今ひとつの始まり告げ
  三日月渡る夜の底
  焼き上がり待つ 焼き物師みたいに
  この歌を書いてる
  止まるな俺らの旅心
  生きてる間は 楽しんでやれ!
  お前に送り届けたいもの 
  俺の海の始まり
  
  俺の海の冷たさ  
  俺の海の静かさ
  俺の海の激しさ
  俺の海の高まり

  お前に送り届けたいもの 
  俺の海の始まり

6曲目は「唇かみしめて」

この歌は、3年前に亡くなったお母さんに捧げられた歌である。だいぶん以前に亡くなったお父さんに捧げた背中と対になる歌である。

  少し外を歩こう 冷たい風にあたれば
  気持ちもはれるだろう
  遠くで呼ぶ声がする いつもお前を見てるよ
  歌い続けるんだよ 

  丈夫な体を貰ったんだから
  響く声をくれたんだから
  いやせない悲しみ歌にして飲み込む
  唇かみしめて


あまりにもそのまま、素直な感情の露出だ。
こういう歌が嫌いな人もいるだろう。
でも、勇造さんの歌は「見たまま、思ったまま、感じたまま」(ん?どこかで聞いたフレーズだ??)なのだ。


1部のラストは「アンコールへの道」。

これは昨年のライブで、できたてホヤホヤのを唄ってくれた。そしてこの1年、ずっとライブで歌い続けて来て最近の主要レパートリーとなりつつある。
昨年、カンボジアを旅した時の事を歌った唄だ。
静かなピッキングに乗せて、哀愁のあるメロディーが淡々と唄われていく。
  光と影 雨と虹
  水に映る月 
  今までも これからも
  くり返す人のいとなみ
  盗まなくていいように
  戦わなくていいように
  願いが力となるように
  アンコールへの道はまだ遠い

以上7曲で1部の終了である。

休憩時間、勇造さんは客席後ろに儲けられたCDコーナーでCDを買ってくれたお客さんにサインをして握手をする。
本当は休む時間なのに、このバイタリティーってどこから来るのだろうか?

CDよく売れる。5000円の3枚組からどんどん売れていくのにビックリ。2900円払って、交通費出して(もしくは駐車場のお金払って)ライブに来て貰うだけでもありがたいのに、その上でCD買ってくれると言うのは凄いことだ。
一人で何枚も買ってくれる人が何人も居た。

何十年ぶりかでライブに来てくれた古い勇造ファンも何人か。やっぱりいっぱい宣伝をした効果だろうし、自宅でなくてこういう公共の施設を使ったことも、そういうファンを呼び戻した勝因の一つだろうなあ。

古くからの友人で楽友のyokkoさんとも初めてご対面の挨拶をしていただいた。
初めてのような気がしないyokkoさん。


さあ、怒濤の2部に続く。




さあ、2部の始まりだ。

1曲目、いきなりのアドリブだ。
予定では雲遊天下を唄うはずだった。

実は、僕が打ち合わせの時に「殺そうと思うだけで良かったのに」を唄って欲しいなあと言っていた。
この歌は、もう20数年前に、滋賀県の野洲と言う町で起こった、いつも虐められていた中学生が、虐めていた数人の中学生を、卒業記念パーティーの夜に、刺したり殺したりした事件の事を知って勇造さんが歌った唄だ。
ジャマイカ録音の「血を越えて愛し合えたら」にレゲエバンドでやった演奏が収録されているけど、ライブではロックのビートに乗せて唄っていた。

中学生どころか、小学生が人を殺すこの頃、この歌をもう一度聴きたいなあ。それも渋いブルースアレンジに乗せて聞きたいとリクエストしたけど、う~ん、それはまだやったことないなあと言う理由で没になったのだ。

けど、勇造さんは何とかリクエストに応えようと、リハーサルが終わってからギターをつま弾いてフレーズを探っていたとのことで、何とかやれそうだと言うことで、急遽2部の1曲目でやってくれたのだ。このバージョンを聞いたのは、僕やその日の観客が最初なのである。
こんな風に、彼の歌は変わっていく。

  お前の町ならちょっとは知ってる
  琵琶湖の東、大津の北
  今がはやりのベッドタウン
  お前はそこの中学生
  好きな娘もいたやろう
  殺そうと思うだけで良かったのに

  鎖に繋がれた番犬よりも
  荒れ野彷徨うオオカミが良い
  そんな気持ちに正直すぎて
  寝込みをぐさっとやったと言う
  お前の後ろに居る奴が怖い
  お前の後ろに居る奴が怖い

  野洲から吹く風 琵琶湖を渡り
  女たちのすすり泣く 声運ぶ
  嬉しいはずの仮面劇
  悲しい舞台になってしまった
  殺そうと思うだけで良かったのに
  殺そうと思うだけで良かったのに


2曲目は「そんなんやない」
これは、変わりゆく京都に異を唱えた歌だ。
駅前に大きなホテルを造り、セーヌ河をイメージして鴨川に橋を架け、シャンゼリゼをマネして御池通りのケヤキを引き抜こうとしている。そんな町に怒って出来た歌だ。
市役所の前で一人でこの歌を歌った勇造さん・・。

  屋根瓦続くこの街が
  大切にしてきたものを
  今に生かす工夫をして
  出来るだけ余分な事をしない
  俺が好きなのは そんなんや!

  もう止めてくれ妙なモノづくり
  俺たちの街をいじく回すのは
  もう止めてくれ妙なモノづくり
  俺たちの国をいじくりまわすのは
 
  本当に欲しいのは そんなんやない!
  本当に欲しいのは そんなんやない!

さあ、そしてピアノのコーナーである。

勇造さんは、最近は殆どピアノは弾いていないそうだ。地方のライブではピアノが置いてある会場がほとんど無いし、バンドをやりはじめて、ピアノのプロの続木徹さんの演奏を聴いていたら自分でピアノを弾くのが恥ずかしくなったとの事。
だから、今回どうしようかと迷ったそうだが、やはりリクエストに誠実に応えてくれる勇造さんなのであった。
リハーサルの時に一生懸命ピアノの練習をしていた。

まずは、うさぎ。この曲は正式には「ある朝高野の交差点近くをうさぎが飛んだ」と言う長い題名が付いている。
これを唄うと言うと、古いファンからはお~っと声が上がる程の代表曲だ。
勇造さんにしては珍しく抽象的な言葉が並ぶこの歌の歌詞は詩的で圧倒的に胸を打つ。

ピアノで聞いたのは2回目だが、言葉を一つ一つ噛みしめながら、キーを一つずつ叩いていく。まさにテクニックではなくて、魂で弾いてる感じだ(ね、yokkoさん)。

  力を失った方向と 方向を失った力よ
  仲間割れを起こすな 暗い部屋の中
  後ろ姿の泣いている 男達が輪になって踊っている
  金色のしずくで体中をふるわせながら
  今まで気づかなかった 優しさと悲しさを求めて
  俺の剣よ伸びてゆけ 熱く熱く・・


ピアノを弾く勇造さん。う~ん、照明の関係で綺麗に撮れん・・。

そしてピアノの2曲目は「アイ・リメンバー・ユー」。
関西弁でお前の事忘れへんで~と言う曲だそうだ。
ボブディランの同名曲に触発されて作ったと言う。
僕の大好きなラブソングの一つだ。

   零下17度の外気の中で
   シャボン玉吹くとすぐに壊れ
   細かい氷の結晶になって
   光りながら落ちるのよ

   そんな話も美しかったし
   話すあなたも美しかった
   今は離れた夜に居て
   アイ・リメンバー・ユー

     中略
   
   いつか真冬の北海道で
   シャボン玉吹いてみたい
   その日が来るまでこの歌で
   アイ・リメンバー・ユー

再びギターに戻って「田中一村」。
この歌は、今年のツアーで出来た新しい歌。
勇造さんが心を打たれた絵の作者。
放浪を続けて奄美で骨を埋めた画家の事を歌った唄だ。
僕はこの人の絵を知らない。
でも、絵の前にずっとたたずむ勇造さんが見えるようだ。

6曲目は、これも代表曲「大文字」
ページに書いたように、これは幻野祭と言うイベントに出た勇造さんが聴衆からさんざんやじり倒され、石を投げられた時の事を唄った歌だ。

何度もライブに来てくれる人にはおなじみの歌。
最後のリフレインに、みんな自分の心の中の「さあ、もういっぺん」を乗せて唄う。

   さあ、もういっぺん
   さあ、もういっぺん
   火の消える前に
   
   さあ、もういっぺん
   さあ、もういっぺん
   火の消える前に

2部の最後はこれも代表曲の「チャオプラヤ河に抱かれて」。これは勇造さんが外国を旅して作った歌の中で最高の曲だと僕は思っている。
雄大な、たゆたゆと漂うチャオプラヤの岸辺に僕らを連れて行ってくれる。

   この河の この街の この国の
   確かな手応えは一体何だろう
   バスの車掌も屋台の娘も
   楽しむ事の達人だ

   道には美味しい匂いがあふれ
   河には人が集まってくる
   灯籠流しの夜はきっと綺麗だろうな
   そのときあなたと此処に居られたらと思う

   働いて飯を喰い 夢を見て旅に住む
   メーナム・チャオプラヤ河に 
   抱かれてアジアの子供に帰りはじめる


拍手の嵐の中でライブ終了。
さあ、アンコールだ。

アンコール1曲目は「花の都ペシャワール」。
ギターを叩きながら唄う。
こんなに叩いて大丈夫か?と思うぐらい叩く。
リバーブとエコーの聞いた音が会場中に響く。

  花の都ペシャワール
  荒野に咲く街
  生き急ぐことはない
  死に急ぐこともないと
  柔らかいパキスタニが歩いてくる

繰り返されたこのサビの後に、パシーンと鼓のように響き渡るギターを打つ音が会場の空気の中に染みいって、みんなの心にも染みいってくる。

アンコール2曲目は、「ジェフベックが来なかった雨の円山音楽堂」。これも知る人ぞ知る勇造さんの名曲、珍曲である。大好きなジェフベックのライブを楽しみにしていたら、病気でライブが中止になった(本当のところは、雨が降っていて雷が怖かったらしい)時の事を唄った歌だ。

ここで聞けるのは、弦も切れよとばかりに弾かれる轟音ギターである。事実、今回も序盤から2本も弦が切れてしまった。4本弦になったギターを、それまでと同じ力強さでかき回す勇造さん。初めて見た人は、もうあっけに取られてしまったんじゃないかな?

怒濤のアンコールが終わったと思ったら・・。
「もう1曲やろうかな?」と嬉しい事を言う。
しかし、ギターはもう4本しか弦が残ってないのに、張り替えるの?と思っていたら、「ピアノでもう1曲やろう」と言うことで、ラストのラストは「ワルツを踊ろう」。

この曲は彼の最初のソロアルバム「さあ、もういっぺん」の冒頭に収録されているラブソングだ。
ゆったりとしたワルツに乗せて、噛みしめるように唄われる。
  
   もしもお前がかたつむりなら
   おれは手のひら 緑のヤツデ
   もしもお前が桜貝なら
   おれは星降る夜の海

   離れ島から監獄から
   唄おう 愛の歌
   お前と幸せに 狂いたい

   離れ島から監獄から
   唄おう 愛の歌
   お前と幸せに 狂いたい
お前と幸せに 狂いたい

これで本当に終わりの終わり。
いきなり勇造さんに舞台に呼ばれて挨拶をさされる。
出だしの挨拶は考えていたけど、終わりの挨拶は考えていなかったのでビックリ。
勇造さんに、聞きに来てくれた人に心から「おおきに!!」と言わせて貰う。

終わってみて、良かった~と言ってくれる人が多い。

去年までと違うこと。
1.ステージがあるので、後ろの人でもちゃんと勇造さんが見える。
2.バックの照明が赤、緑、黄色など色々と曲によって変えられてよかった(照明の谷本君、ありがとう!)
3.PAが本格的になったので、曲の表情が広がった(ペシャワールのギターを打つ音など)
4.ピアノの曲を聴けて良かった。
5.街の中心部なので交通の便が良かった
6.個人の病院という特殊な場所でなくなったので、来やすくなった人も居ただろう。


勇造さんが張り切ってくれたのも、場所を変えて頑張ったこっちの意気込みを感じてくれたのだと思う。
後期ツアーの初日と言うのも良かったのかも知れない。

この日のライブで勇造さんの歌に魅せられた人が、今度来る時に友達を数人引っ張ってきて欲しい。
このシビックセンターで立ち見のでるライブがしたい!

去年、この楽天のサイトを作ってから、ツブちゃん、momoさん、そしておれんじさんが勇造さんのライブを訪れた。
今年は既にyokkoさんが毒牙にかかった、いやライブを楽しんでくれた。
自分のこの微力なサイトで勇造さんへの興味を持ってくれる人が一人でも増えてくれたら十分だ。

そんな風に欲張って行こうと思う。

打ち上げは、駅の近くの我が家の行きつけ「彦鳥」と言うお店。刺身も焼き鳥も美味しくて、ライブの成功にみんなの顔が輝いている。谷本君と尾形君はミーハー状態で勇造さんと並んで写真を撮りまくっている。
彼らはとことん飲みますと言って代行で帰っていった。
我が家も、珍しく配偶者が、自分が運転をするから飲んだら?と勧めてくれたので、ビール、焼酎など思いっきり飲ませて貰う。勇造さんは、いつもながらあまり食べずに、ビールを飲む。子供達がまとわりついても邪魔そうにもせずに楽しそう。



徳島の翌日は、呉でのライブだそうだ。
京都からバスで来た勇造さんは、JRで呉へと向かう。
駅まで見送って、駅弁と新聞を渡し(あ、ビールを渡すの忘れた)、汽車が出るのを待つ。
みんなで写真を撮り、さあもういっぺん、来年も!と握手をする。

汽車が動き出す。子供達が後を追いかける。
やっぱり自然に浮かんでくる「歌いながら夜を往け」のフレーズ。

   汽車に乗り また汽車に乗り
   迎えられて 始まる
   暖かい気持ちが俺を包む
   良いことは続く方が良い

   旅の途中で貰った種を
   夜の窓から 蒔いていこう
   人の心よ 凍てつくなよ!
   唄いながら夜を往け~


勇造さん、素敵なライブをありがとう。
来年も、また!

おおきに!!



  





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